榊原 温泉と清少納言

榊原 温泉について、清少納言が枕草子に書いているわけだが、謎も多い。清少納言の枕草子には、4つの系統の写本がある。清少納言の枕草子の原本は存在しない。
清少納言が榊原 温泉について、「湯は、ななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」と書いたとされるのは、4つの系統のひとつ、能因系本の第117段だ。4系統の写本のうち、能因系本のみ、榊原 温泉について記載されている。
また、清少納言の枕草子のやはり能因系本の387段には、「出で湯は、ななくりの湯、有馬の湯。那須の湯。つかさの湯。ともの湯」というのもあるが、これも、いわゆる清少納言の枕草子の三段系本には、書かれていない。
ななくりの湯(榊原 温泉)、有馬の湯。那須の湯は、まぁわかるが、つかさの湯、ともの湯は、特定されていない。
で、清少納言については、三段系本が強くて、能因系本は、なかなかねぇ・・。というのが研究者の実情のようだ。
榊原 温泉と清少納言について、専門の学問の世界ではいろいろありそうだ。
派生して、ななくりの湯は、榊原 温泉ではなく、別所温泉だ・・という主張までもある。
いぁ・・そもそも、榊原 温泉か別所かの前に、清少納言の能因系本の117段、387段が、どうよ・・だと思うんだが・・。

まぁ・・それはそれで。榊原 温泉には、奈良時代には皇族が訪れたり、玉造温泉、有馬温泉も、天皇家との関わりがあったり、榊原 温泉について清少納言が書き記すことには、何の違和感も感じない。
現在も榊原 温泉は、自然や緑の豊かな山中の温泉地だ。春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝。その頃、清少納言の美意識が、榊原 温泉を認めたとしても不思議はない。
勿論、清少納言がどうであれ、現在でも榊原 温泉は、日本人の美意識にあう季節感を感じることができる土地であり、榊原 温泉の大きな楽しみといえるだろう。

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